
金峰山の山頂にある巨石は、甲府市のホームページでは五丈岩と紹介されていますが、北杜市のホームページでは五丈石となっています。山梨百名山(山梨日日新聞)の金峰山のページを引くと五丈岩と五丈石の併記。角川日本地名大辞典では五丈石です。なぜ岩と石、二通りの呼び方があるのでしょうか。
岩と石の違いはあいまいですが、岩石のうち巨大で運び出すことができないものを岩、人の手に負える大きさのものを石と呼ぶことが多いようです。ここから発展して、加工された岩石も石の分類に加わります。身の回りで石という漢字が使われているものを挙げてみると、庭石や石垣は巨大ですがすべて人の手が入っています。一方、岩という漢字が使われているものを挙げてみると、一枚岩や岩畳など、自然のままの状態を指すものが目立ちます。
金峰山の山頂付近にある巨石には、五丈岩と五丈石の両方の呼び方がありますが、現在山に登っている人の多くは五丈岩と呼んでいて、古い本ほど五丈石が優勢な印象を受けました。先出の角川日本地名大辞典は昭和59年発行で比較的古い本ですが、御影石、御像石という別名も収録されています。あくまで私の想像ですが、石の字を使うのは、金峰山が蔵王権現を祀る山岳信仰の場だったことと関係があるのかもしれません。
ボルダリングの世界では、屋外にある巨石を登ることを「外岩に行く」と言うようです。人の手が入っていない自然のままの登攀対象であるという意識があるのでしょう。登山がメジャーな娯楽となり、山岳信仰と切り離された現在、五丈岩という呼び方が一般的になっていくのもうなづけます。

金峰山と向き合うように聳え立つ鳳凰山の地蔵仏(オベリスク)には岩も石も名前についていませんが、もし地蔵石という名前だったなら、五丈岩と同じく地蔵岩というように名前が変わっていったのではないかと想像します。

