タイトルに惹かれて、最近『山岳科学』という本を購入しました。大学院修士課程の院生が使う教科書だといいますから、難しい話題が満載です。

私は中学生のころ地理の授業で浸食輪廻を学びました。浸食輪廻とは、隆起した平原が水の浸食作用によって険しい地形へと変わり、そしていつかは浸食されつくして平原へと戻っていくというもので、V字谷が発達した南アルプスや北アルプスは地形の「壮年期」の代表例として紹介されていたと記憶しています。ただ『山岳科学』を読んでいくと、どうもその考え方は古くなっているようです。たしかに日本アルプスの稜線は2800m~3000mのだいたい同じような標高でそろっており、元の準隆起平原の名残のように思えます。しかし、1990年代以降の調査によると、現地形は稜線のはるか上方にあって、もはや跡形もありません。日本アルプスの稜線の高さがそろって見えるのは、山脈の隆起の速度と、浸食の速度が釣り合っているからだというのです。

常識だと思われていたことが最近の研究によって新しい解釈に置き換わっていくことは様々な分野で起こりえます。気象の分野も例外ではなく、観測や解析の技術の進歩に伴って知識の置き変わりは今後ますます加速していくような気がします。ただ、自分から学ぼうとしなければ常識が更新されていることに気づくこともできないのです。『山岳科学』には山岳気象の章もあるようです。アップデートを迫られるびっくりするような話題がないか、期待しながら読んでみようと思います。

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