ローカルニュースでは春になると連日県内の桜の名所を紹介するのが恒例となっていますが、その中で私は峡北地域の桜が気に入っています。出社前に始発電車で峡北に出かけて花見を楽しみ、昼前に甲府に戻るということを4回繰り返してみました。案外遠くまで足を延ばすことができることがわかっていい収穫でした。

わに塚の桜
韮崎市にある樹齢330年のエドヒガンザクラで古墳の上に生えています。望遠レンズを使えば富士山をバックに撮影できる随一の桜の巨木として大変人気がありますが、去年今年と南側は曇っていて定番の構図は見ることができませんでした。八ヶ岳をバックに撮る写真も見事です。わに塚が誰の墓か気になっていたのですが近くの神社によるとヤマトタケルの王子・武田王のものだそうです。

山高神代桜
北杜市実相寺にあるエドヒガンザクラの古木です。樹齢は1800年とも2000年ともいわれていますが詳細は不明です。このあたりで最も古い巨木であることは間違いありません。日本三大桜として大正時代に天然記念物に指定されています。当時は現在より樹勢が旺盛で高さは倍以上あったようです。戦後あと3年で枯れるといわれたところからここまで樹勢を回復したそうで、生命力に感心します。

中山展望台
大武川と釜無川に挟まれた小高い山は大変急な斜面ですが、山頂に上り詰めると南アルプスと八ヶ岳を望む第一級の展望台になっています。上から眺めた白州は桜の里であると感じます。有名な桜並木や名もない桜があちこちに点在しています。

中山展望台を降りてすぐのところにあるのが関の桜(左)です。エドヒガンザクラで樹齢は不明ですが200年から300年くらいではないかと思います。今年の最後の花見となったのが蕪の桜並木(右)です。開拓の際牧場に植えられたソメイヨシノで、背後に甲斐駒ヶ岳がそびえます。個人的に好みのロケーションでしたが古い写真と比べてみるとポプラの木がなくなっていたためやや趣が変わっていました。

なぜかこの地域にはエドヒガンザクラの名木が集まっています。同じようにエドヒガンザクラが多いのが三春の滝桜を擁する福島県中通りです。福島県では三春の滝桜の種が鳥に運ばれたり、江戸時代から有名だった三春の滝桜にあこがれた周辺の村々が接ぎ木で増やしたりした結果、子桜孫桜と広がっていったそうです。峡北でも同じように山高神代桜の種などが広がったのだったら面白いなと思いました。山高神代桜の種子の中には国際宇宙ステーションで過ごしたのち発芽したものがあり、生命の力強さに感心せずにはいられません。年年歳歳花相似たり、年々歳歳人同じからずという言葉があります。人はどんどん入れ替わってしまうけれど、桜は変わらず春になると見事な花を咲かせるという意味。悠久の時を生きるエドヒガンザクラにこそふさわしい言葉です。

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