河口湖特別地域観測所は河口湖駅から西に数分ほど歩いた住宅の多い一角にひっそりとたたずんでいます。河口湖駅の周辺は2010年ごろから続くインバウンドブームで外国からの旅行者でごった返していますが、観測所があるあたりは人通りまばらで静寂そのものです。背後には富士山の山頂部が望めます。2003年に有人観測が終了するまでは河口湖(当時は測候所)でも富士山の初冠雪を観測していました。現在その観測は富士吉田市が引き継いで独自に初雪化粧宣言として発表しています。

この観測所の最大の特徴はウィンドプロファイラのドップラーレーダーが併設されていることでしょうか。ウィンドプロファイラの施設は山梨県内ではここだけなので、甲府よりも観測項目が充実しているといっていいかもしれません。このウィンドプロファイラのデータは富士山山頂の風を調べるときに大いに役立ちますのでそれについてもいつか紹介できればと思います。

標高は860mもあることから甲府と比べるとずいぶん冷涼で、猛暑日も極めてまれです。一方で河口湖を擁するおかげで乾燥はさほど進みません。東部・富士五湖の乾燥注意報の発表頻度は、中・西部より少なくなっています。強風注意報が発表されることはまれですが、冬型の気圧配置が強まると西風がやや強まる傾向があります。富士山と御坂山地に挟まれた東西方向の深い谷地形になっているからでしょう。

地形をみると河口湖南岸の地形は凸凹しており、富士山からの溶岩の上に市街地が形成されていることがわかります。これは船津溶岩流といって富士宮期(17000年~8000年前)の溶岩流です。河口湖北岸には溶岩流が見られず、沖積層や扇状地が形成されています。河口湖町はブルーベリーや桑が有名ですが、大半の農地は河口湖北岸に集まっています。

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