富士山の観測所は、お鉢を囲む峰々の中でも最も高い剣ヶ峰の上に建っています。登頂を果たして山頂の碑で記念写真を撮る登山者のほとんどが気づいていませんが、碑を取り囲んでいる建物こそが気象庁の観測所です。
現在観測されているのは気温と湿度、日照のみですが、有人の測候所だった2004年ころまでは初雪や初積雪の観測が行われ、さらにやぐらの上には風向風速計が取り付けられていました。かつて風向風速計が取り付けられていた足場が、人が立てる日本で一番高い場所だと思います。測候所時代には気象庁職員が常駐していました。過酷な日々の出来事や業務を綴った記録が『カンテラ日誌』として出版されています。絶版になっているようなので後で内容をいくつか紹介しようと思います。
往時の様子を知る人にとってなじみ深い富士山レーダーは、富士吉田市の道の駅隣の敷地に移設されています。富士山レーダードーム館として内部を見学できるほか、冬の富士山頂の寒さを体験できるコーナーもあります。