標高867m、八ヶ岳南麓の広大な高原地帯に大泉アメダスはあります。公共交通機関を使ったアクセスは比較的不便で、10分ほど歩いた先に個性派スーパーとして有名なひまわり市場のバス停がありますが、一日に数便しかありません。一方で、眺望はたいへん素晴らしい場所です。北には八ヶ岳、南には甲斐駒ヶ岳がそびえており、甲斐駒ヶ岳の背後には北岳の頭頂部がわずかに見えます。アメダスの統計を見ると、晴天率が高く日照時間がたいへん長いため、北杜市が「日照時間日本一」と言われる根拠となることがあります。
ただし北杜市はたいへん広いので、地区によって気候の特徴が大きく異なるようです。大泉アメダスのあるエリアは八ヶ岳おろしがフェーン現象を起こしたり、斜面温暖帯の効果で冷気がたまりにくかったりするため、標高がはるかに低い韮崎アメダスより冬季の冷え込みが弱いことがよくあります。一方、より標高の高い清里の気温は長野県野辺山に近く、大泉よりずいぶんと冷え込みが厳しいはずです。大泉アメダスでは、八ヶ岳おろしの北西風が吹くと気温が上がり、清里方面からの北東風が吹くと気温が下がる様子が確認できます。
現地を訪れてみると風向風速計の北西に同じほどの高さの電柱が何本か建っていました。八ヶ岳おろしが吹いてくる方角です。風速等の観測結果に影響しないか少し心配です。
大泉アメダスの周辺は八ヶ岳の山体崩壊でできた韮崎岩屑なだれが埋め尽くしており、東岸を須玉川が掘削中です。大泉アメダスの西側や南側には流れ山とみられる地形があります。桜の名所として知られる谷戸城址は流れ山の地形を利用しています。大泉アメダスより上流側では湧水が豊富で、泉川、宮川などの河川は湧水に端を発しています。湧き水を三等分に分ける仕組みが残る三分一湧水は観光名所になっています。